目次
〈遠くても食べたい味〉
年間の外食は1,500軒以上! 令和のグルメ王、浜崎龍がわざわざ旅をしてでも行く価値があるお店を紹介します。今回は、福岡県にある「膳 八女や」です。
教えてくれる人

浜崎龍
グルメメディア「TERIYAKI」や国内最大規模のグルメオンラインサロン「TERIYAKI美食倶楽部」の運営を行う、テリヤキ株式会社の代表を務める。大学生時代から幅広く食べ歩きを行い、ラーメンから高級フレンチまで年間1,500軒以上も飲食店を巡り歩く。ジャンル問わず、日頃全国の「おいしい」を求めており、北海道の端から沖縄、はたまた世界中まで飛び回る。レストランとのイベント企画も手がけ、飲食に対する新たな可能性を日夜見いだす。メディア掲載、マガジンハウス「Hanako」など。
膳 八女や
オープン前から予約殺到! SNSで「世界一のおにぎり」と絶賛された職人が八女に開いた5席の聖地

食通の間で「今、行くべき」と熱い視線を注がれる店が、福岡県八女市に誕生しました。2025年6月2日にオープンした「膳 八女や」です。 店主は、SNSで「世界一のおにぎり」と称賛され、ニューヨークをはじめ世界を舞台に活躍してきた「おにぎり太郎」こと木曽太郎氏。
彼が自身のルーツである福岡で、満を持して開いた城は、なんとわずか5席。神社の奥に佇む築100年以上の古民家で、一体どのような食体験が繰り広げられるのか。オープン直後から予約困難となっている話題の新店、その魅力に迫ります。
神社の鳥居が入り口。隠れ家感に心躍るアプローチ

「膳 八女や」を訪れるには、まず「平田稲荷神社」の赤い鳥居をくぐるところから始まります。飲食店のひしめくエリアではなく、神社の静謐な境内を抜けた先に、その店はひっそりと佇んでいます。このユニークなアプローチが、日常から特別な食の時間へと誘ってくれるようで、期待に胸が膨らみます。
建物は、築100年を超える古民家を美しくリノベーションしたもの。木のぬくもりとモダンな洗練が共存する店内は、ライブ感あふれるカウンター5席のみ。職人の手仕事を間近に眺められる、贅沢な空間です。
店主は“世界一”と称される職人「おにぎり太郎」氏

この店の心臓部ともいえるのが、店主の木曽太郎氏。福岡県行橋市出身、1997年生まれの気鋭の若手料理人です。京都の日本料理店で修業を積んだ後、彼が握ったおにぎりがSNSで「世界一」と評され、瞬く間にその名が世界に拡散。以来、国内外のレストランでポップアップイベントを開催し、多くの食通を唸らせてきました。
そんな木曽氏が、キャリアの集大成として選んだのが、故郷・福岡の八女市。「御米と御茶」をコンセプトに、全国有数のお茶の産地であるこの地で、日本の食文化の原点を見つめ直します。
必食!コースのクライマックスを飾る「感動のおにぎり」

ディナーは、完全予約制のおまかせコース(税込12,000円程度)1本。筑後地方の旬の食材をふんだんに使った美しい料理が、物語を紡ぐように提供されます。有明海の幸や八女の採れたて野菜など、地元の恵みを堪能したのち、いよいよコースはクライマックスへ。

主役として登場するのは、特注の土鍋で炊き上げられた、艶やかに輝く白米です。まずは米そのものの味をじっくりと堪能。

そして、いよいよ木曽氏によるおにぎりのパフォーマンスが始まります。 驚くべきは、90℃はあろうかという炊きたてのご飯を素手で扱うこと。熱さに耐えながらも、米粒を潰さず、空気を含ませるようにふわりと握られる様は、まさに神業。塩のみ、あるいは海苔をまとっただけの究極にシンプルな「塩むすび」が、そっと手渡されます。

口に含んだ瞬間、誰もが驚くはず。はらりと優しくほどける米粒、そして鼻腔を抜ける甘い香り。これまで体験したことのない、唯一無二の食感がここにあります。これこそが、世界を熱狂させた「世界一のおにぎり」。この一粒を味わうためだけに、八女を訪れる価値があると断言できます。
予約はInstagramで。訪問前に必ずチェックを
これだけの話題店ですから、予約は必須です。特筆すべきは、予約方法が主に公式Instagram(@zenyameya)のダイレクトメッセージで不定期に案内されること。電話番号は非公開となっており、グルメサイト経由でのオンライン予約も受け付けていません。 訪問を希望される方は、まず店舗の公式Instagramをフォローし、予約受付の告知を見逃さないようにしましょう。オープン前から予約が数分で埋まるほどの人気ぶりなので、まさに争奪戦です。